物語の型を教えてみた

 作家の時間をやってきて感じるのは、ミニレッスンで学んだことを生かして物語を自由に書けと子どもに求めても、大多数の子どもは筆が止まってしまうということ。自由に書けと言われても困る!という状態になりがちなのだ。その際、教員はカンファランスを通じて子どもからアイデアをopen questionで引き出すことはできる。しかし、引き出された数多くのアイデア(物語の細部)を、物語の体に構築する視点を子どもは持っていないし、僕も明確に意識していなかった。そんな1学期の反省をふまえ、2学期ではあらかじめ物語の型というものを子どもに教えてみた(これは石原千秋氏の著作『国語教科書の思想』&工藤順一氏の実践を参考にしています)。

 最初から型を教えてしまうことを「身も蓋もない」ことと捉え「物語の味わい、醍醐味を子どもから奪っている」と批判する人は多いとは思うし、賛否両論あるとは思う。でも、物語に対するパターン認識を無意識にできるのは、もともと本が好きでたまらない一部の子どもだけで、そういう一部の子どもだけが限定的に活躍できる学習活動になってしまうことを避けたいという思いがある。どんな子も自分なりに手応えを感じられる作品にするための一助として、ミニレッスンで物語のパターンを最初に教えてしまうことは、僕は別にいいんじゃないかなあと思っている。むしろ、そういう種明かしをしないで、物語作りをすべての子どもたちに要求し続けると、文章を書くのが苦手な子にとってはとてもしんどいのではないかと。あと、物語をパターン認識する視点を持つことは、子どもたちの批評的な物の見方をはぐくむような気がするんだよね。とまあ、手探りではありますが、長い目でぼちぼちやっていこうと思います。今年、僕にとって初めての高学年なんだけど、今までずっともってきた低学年では挑戦してこなかった試みができて楽しいし充実していて幸せ。

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Nothing From Nothing

Nothing From Nothing

 陽気さの中に哀愁が感じられるメロディーでアゲ。